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20××年春 [禅]

20××年。大学3年生の春、就職活動は始まった。
行きたい会社は特になかった。というより企業のことなど知らなかった。
街で見かける広告、TVや新聞といったものが、私の企業の情報源だった。
もちろん企業の名前は知っている、でもなにをやっているのかはよく分からない。
本音はこんなところだ。

大学4年生が近づいてくると、学生掲示板に企業のインターン募集の掲示が
増えてくるし、就職活動に対して周囲も徐々に情報を集め始める。

学歴社会を生きてきて、自分の偏差値を基準に選べばよかったこれまでの
学校選択と比べると、その選択肢の多いこと多いこと。
そしてまた自分は選択肢に対する知識も情報もない。
選択肢があることは素晴らしいことです。ただそれはいつの時代も迷いを生む。

迷った挙句、答えはどこにも書いていない。
その迷いに対する採点結果は、10年後、20年後、いやもっと後に帰ってくるのである。
親も先生も、友人も自分も誰も答えを持ち合わせていない。

途方もない宝探し。

学歴社会を生きてきた自分にとっては、本当の意味で「選ぶ」とか「探す」とか
そういう言葉で対象を考えたのは、この時が初めてかもしれない。

ここに自分のやりたいことって何だろうって加わる。
誰だって悩むよ。

近くの池でペダル付きのスワンに乗って楽しんでいたと思ったら、
いきなり大海原にスワンで連れていかれて、自分で行く方向を決めなさい
って言われるようなものなのだから。
行く先分からなくなって、彷徨う人がいておかしくないよね。
というより普通です。

この頃からでしょうか。
自分は何をしたいのか、何のために生まれてきたのか、
深く深く考えるようになったのは。

こうして自分もモラトリアムを終えなければいけないのか、と重い腰をあげるのでした。
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